独壇場Baby

独壇場Baby (19) 多趣味

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≪ 七浦 彬 ≫

 ”友達宣言” の翌日から、俺と神谷と多田、3人でつるむようになった。 先週と違うのは、多田に待ち伏せられ仕方なく・・・ではなく、俺も神谷も、望んで多田と一緒に居るということだ。
取っている講義は違っても、同じ科だから授業スケジュールは似通っている。 自ずと空き時間も同じになるから、3人で学生課で就職活動の資料を集めたり、図書館へ行ったり、構内のカフェで時間を潰したり。 勿論、同じ講義は並んで受けた。 多田は予習を完璧にして来るタイプだったから、俺も神谷も随分助けられた。
2限が終わったら、チャペル前で落ち合って3人で昼飯を食った。
時には放課後、渕上駅前の居酒屋に行ったりした。

そうやって多田と同じ時間を過ごし、多田のことを知れば知る程、俺は多田を好きになった。
勘違いしないで欲しい、『好き』 というのは ”人として” とか ”友達として” という意味であって、決して恋愛感情の 『好き』 ではない。 って、俺は誰に言い訳してるんだ、自分にか? 『自分に言い訳』 ってますます疑われるだろ、って、疑われるって、だから誰にだよ。
・・・まぁいい、それは置いておいて。
多田が構内で顔が広いのは知っていたが、その理由が分かった気がした。
多田は、流行から時事ネタ、オタクネタまで様々な引き出しを持っていて、それらを面白おかしく披露することに長けていた。
趣味も多岐に渡っていた。 大概の人間は、「趣味は何ですか?」 と訊かれたら、「映画鑑賞」「釣り」「サッカー」 など何か一つ、もしくはせいぜい二つを答えるだろう。 多田は、 「ゲーム、プラモ、読書・・・って言っても漫画専門だけど。 映画鑑賞に音楽鑑賞・・・って言ってもクラシックじゃなくてバンドのライブばっかだけど。 サッカー、バスケ、釣り、ジムで泳ぐこと。 あ、ベランダ栽培のゴーヤ観察も趣味と言えなくもないな。」 さらりと10個の趣味を挙げた。 ゲームからジムまで・・・インドアからアウトドアまで網羅しているからこそ、様々な人と親しく友好関係を築けるのだろう。 ベランダに緑のカーテンは意外だったが。 
「あ、友達作ることも趣味かな。」
友達を作ることが、趣味?
「俺、親が転勤族で、中学上がるまでは転校の連続だったんだよね。 新しい学校でいかに友達作るかってことが当時の俺の人生の課題でさ。 多趣味なのはそのせいかも。 ほら、好きな物が一緒だと仲良くなれんじゃん?」
多田の多趣味は、転校生がクラスでハブにならないための処世術だったのか。
「転勤族の子って、みんなそうだと思うぜ?」
いや、それは違う。 俺も転勤族の父を持ち転校の連続だったが、趣味と訊かれて即答できるものは何一つないし、まして、『友達を作ることが趣味』 など有り得ない。 あぁ、だから、俺には友達が出来なかったのか。
多田を(人として)好きになったのは、多田のように生きてみたいという憧れと同義なのかも知れない。

多田と居ると楽しかった。
友達に、親友になれた気がしていた。
『3ヶ月後云々』 という話も、すっかり忘れるくらいに。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

7月に入って最初の月曜日、今日はゼミの日だ。
多田からラインが入ったのは、2限の授業が終わり、いつも通り神谷と一緒にチャペル前で多田を待ちながら、今日は学食にするか弁当買って中庭で過ごすかどうしようか・・・と話していた最中だった。
『昨日の合コンで超二日酔い。 ゼミまでには学校行く。』 って・・・多田の奴、どんだけ飲んだんだよ?
昨日の夕方、ラインで、 「これから合コン。 元カノ達の彼氏探しの助っ人ってだけだから、心配するな。」 と聞いてはいたが・・・元カノ達って、あれだよな、以前学食で会った彼女達のことだよな。
何が 『心配するな。』 だ、寧ろ、 「合コンで会った子のラブビームに負けた。」 って展開に期待していた。 多田の気持ちが新しい彼女(彼氏でも)に移ってくれれば、俺と多田は正真正銘ただのお友達ってことで丸く収まるのだ。
収まるが・・・苛つくのは、『3ヶ月待て』 とか言っておいて浮気する多田の節操の無さへの嫌悪だろう。 いや別に、多田が浮気したと決まったわけではないのだが・・・って、浮気って何だ? 俺と多田は別に・・・っ。
あぁもうとにかく、多田に好きな子が出来て俺がお払い箱になれば、万事円満解決だ。
「七浦、顔怖いよ? 多田の合コンのことが気になるの?」
「そうじゃない、腹が減り過ぎてるだけだ。」

生協の売店で弁当と茶を買い、中庭に出て、ベンチは先客で埋まってたから芝生に胡坐をかいた。 
割り箸を割ったら左右アンバランスになってしまって、思わず舌打ちをした。 弁当の蓋を開けたら、勢い余って弁当が傾き海老フライが芝生に転げ落ちた。 あぁもう! 何だって言うんだっ。
海老フライを拾おうと手を伸ばしたら、俺より先に誰かの手が・・・。
「うん、美味しい。」
その人は食った、地面に落ちた海老フライを。
俺の斜め後方、とてつもない美形の男がモグモグと海老フライを食んでいた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

こんばんは! 後藤ゆりです。
更新が滞ってすみませんでした。

”落ちた海老フライを食う謎の美形” 登場。
続きが気になるぅ❤ シーンでストップで申し訳ございませんが、
本日からまた数日、お休みさせていただきます。
ちょっと旅に出るもので(汗
来週には再開する予定です。

楽しみにしてくださっている読者の皆様、申し訳ございません。


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Re: 01:29の鍵コメさんへ

こんばんは!コメントありがとうございますっ。
うふふ^^ 01:29の鍵コメさんの予想が当たるかどうか、乞うご期待ですっ。
( *´艸`)クス

旅は・・・青い空と青い海のところへ行ったのですが、
記録的な豪雨により散々でした(笑)

Re: 08:12の鍵コメさんへ

こんばんは!コメントありがとうございますっ。
ここまでの展開でいったら、あの人しかいませんよねぇ~(((*≧艸≦)ププッ

旅行、楽しかったです。
景色を楽しむはずが豪雨でそれどころじゃなくなってしまいましたが(笑)
よく飲んでよく食べてよく喋りよく笑い、疲れました(笑)
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